書籍案内

読みやすい簡潔・明瞭な記述,職域の実務家向きのハンディーなA5判サイズ。(社)日本産業カウンセラー協会様・一部県警様,大手企業様採用の定評あるハンドブックです。
改訂 職場のメンタルヘルスハンドブック

改訂 職場のメンタルヘルスハンドブック

改訂にあたって

めまぐるしい社会の変貌は,わが国の産業精神保健の現場にも強い影響を与えている。自殺者が一向に減少しないこと,メンタルな事由で長期間休業を余儀なくされる労働者が増加するなど,産業精神保健領域において厳しい現状が推測される。
こうした状況に対し,行政レベルでもさまざまな施策が講じられている。労働安全衛生法の改正をはじめ,法律面での整備や各種通達などである。
職場関係者の職場のメンタルヘルス活動に従事するスタンスとして,ストレス対策をはじめとする職場環境の整備はもちろんだが,いかに普段から法律にもとづく適切な対策を講じ,問題が生じた際には適切な対応がとれるかが基本となる。労働者の健康情報に関しては個人情報保護法が制定され,職場として今まで以上に慎重な取り扱いが求められているが,職場側の安全配慮義務が緩和されたわけではない。むしろ,責任あるメンタルヘルス管理を行うためには,労働者に関する必要最低限の健康情報を獲得する姿勢も求められている。すなわち,職場としての危機管理能力が鍵だろう。
また,職場でのノーマライゼーションを考える場合,障害によって仕事ができない人を排除するのではなく,障害者として抱え込んでいく姿勢も求められるのは当然である。この抱え込みとノーマライゼーションとは一見相反するように見えるが,職場での“抱え込み”の問題点の本質が,障害を疑いつつも建前では健常者でかつ仕事ができない人として曖昧な対応をし,結果的に人権侵害に及ぶ可能性がある点である。きちんと障害者として認知し対応しているなら,それは“抱え込み”ではない。
幸いなことに,本書は初版の出版以来多くの支持を得ることができたが,以上のような状況を鑑み,職場のメンタルヘルス活動・メンタルヘルス管理がより適切に実施されることを目指して改訂に踏み切った。ご活用いただければ望外の喜びである。

編者 大西 守,島 悟


目次

1 職場のメンタルヘルスの現状
 1.労働者の精神健康状態
 2.事業所のメンタルヘルス対策
 3.労働安全衛生法とメンタルヘルス指針
  1)労働安全衛生法とは
  2)労働安全衛生法の改正とメンタルヘルス
  3)THP(Total Health Promotion Plan)
 4.『メンタルヘルス指針』の概要
  1)事業場全体での取り組み
  2)計画の策定と継続的な取組み
  3)幅広い活動
  4)事業場内メンタルヘルス推進担当者の選任
  5)教育研修の充実
  6)個人情報の保護
 5.その他の行政面の動向
 6.産業保健推進センター,地域産業保健センターの現状
  1)産業保健推進センター,地域産業保健センターとは
  2)産業保健推進センターの業務内容
  3)地域産業保健センターの活用方法
  4)メンタルヘルス相談に関して
 7.産業保健福祉センター,保健所の現状
  1)私企業と公的機関サービスとの関係
  2)精神保健福祉センター,保健所でのサービス内容

2 産業ストレスとその対応
 1.ストレスの基礎知識
 2.産業ストレスと疾患との関係
 3.ストレス解消法の実際
  1)ストレス対処行動
  2)認知的対処
  3)現実的対処とは
  4)ストレス発散行動
  5)社会的支援

3 メンタルヘルス相談の手法
 1.心理検査の限界と心得
 2.心理検査の基礎知識
  1)知能検査
  2)性格検査
  3)心理状態の検査法
  4)作業テスト法
  5)描画テスト
  6)文章完成法(SCT)
  7)ロールシャッハテスト
 3.精神療法の基礎知識
  1)カウンセリング,サイコセラピー
  2)来談者中心療法
  3)ブリーフセラピー
  4)認知行動療法
  5)森田療法
 4.職場でのメンタルヘルス教育の実際

4 職場でのメンタルヘルス相談の実際
 1.メンタルヘルス相談システムのあり方
 2.役割分担と連携の実際
  1)社内スタッフの役割分担と連携
  2)外部機関への紹介の仕方
 3.アセスメントの実際
  1)インテークの原則
  2)「事例性」と「疾病性」を分けたアセスメント
  3)アセスメントの実際
  4)治療・援助の進め方
  5)「病識」,「病感」の問題と職場対応の基本
  6)「病識」の希薄な従業員への対応の原則
 4.プライバシー保護の基本
  1)プライバシー保護の原則
  2)相談予約に関して
  3)職場への連絡の仕方
  4)家族への連絡の仕方
  5)精神科領域の病名告知に関して
 5.職場での健康管理のチェックポイント
 6.休職判定の留意点
  1)精神医学的問題を感じた際の職場での初期対応
  2)家族を巻き込むことの重要性
  3)休職の判断に関して
  4)自宅療養の意味と目的
  5)休職中の対応
  6)休職後への準備
 7.復職判定の実際
  1)メンタルヘルス領域で復職判定がうまく機能しない理由
  2)復職判定に際しての精神疾患・精神障害事例の特殊性
  3)メンタルヘルス領域での復職判定システムとその進め方
 8.復職後の管理と再発予防のポイント

5 労災認定の基礎知識
 1.労働者災害補償保険法の目的
 2.労災認定(業務上外認定)の基本
 3.精神障害における労災認定の現状
 4.心理的負荷による精神障害に係わる業務上外の判断指針
 5.労災医療と後遺障害の等級認定の判断

6 トピックス
  1.出社拒否症
  2.テクノストレス
  3.摂食障害
  4.職場のいじめ
  5.セクシャルハラスメント
  6.単身赴任
  7.従業員支援プログラム(EAP)
  8.過重労働の最近の考え方
  9.自殺者の増加とその対応

資料A 事業場における労働者の心の健康づくりのための指針
 1.趣  旨
 2.メンタルヘルスケアの基本的考え方
 3.心の健康づくり計画
 4.メンタルヘルスケアの具体的進め方
 用語の定義

資料B
 ●全国の精神保健福祉センター一覧
 ●全国の産業保健推進センター一覧
 ●勤労者心の健康相談窓口
 ●全国の労災病院一覧
 ●その他(電話相談機関など)
 ●老人性認知症(痴呆性疾患)センター施設一覧
 ●全国の婦人相談所
 ●全国の児童相談所